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自分のための幻覚

鏡の前で口角上げて(雑記:桜庭薫)

 桜庭薫とアイドルというトピック、こんな無知な状態で擦るのは危険すぎる。ただ私は最初の頃の感想とかそういうものが好きなので、ミリしら進化形みたいなもの、初年の感想として、とりあえず吐いておく。99パーセント幻覚と妄言なので「このPのところではそうなんだな」くらいの気持ちで流し読みしていただければ。主観主観主観。楽曲の感想の話とかです。

 


 本題だけ言ってしまえば、ASTERISK桜庭パートの『巻き戻すことはできない時をずっと重ねて』という歌詞にすさまじい圧を感じるという話だ。ついでにいろんな曲の感想も話す。長い。まずASTERISK単体の話をしようと思う。こと桜庭薫においては(他のアイドルにとってももちろんそうだが)時が進むということはとても重い意味を持っていると捉えている。故人の時は進まない。
 話は変わるけれど、初期のDRAMATIC STARSから翼が抜けると2秒で解散してしまう理由は、誰もアイドルをやるためにアイドルをやっていないからだと考えている。翼だけはアイドルでなければならなかった。サインライトの景色を見るために。
 で、そもそも桜庭の本来の目的、金ではない。金が必要なのは何のためか? 姉の命を奪った病の治療方法の実験のためだ。金を稼ぐことも最終的には手段でしかない。
 ASTERISKの巻き戻す~に対応する他二人のパートは、『遠い空に憧れてた気持ちのまま走って』『正しいと感じてるのは独り善がりなんかじゃない』だ。柏木は昔も今も、最高の景色が見たいという動機で動いているという。世の中金なので、金にならない仕事から手を引くという前事務所の方針も間違ってはいないが、天道は自分がそうすべきと思ったことに従った。これら1フレーズまるまるソロのパートは、今までの道のりの肯定を表していると思う。そう仮定したとき、どうなるか。巻き戻すことはできない時を重ねてきたこと。では順に見ていく。


 SL。夢への新たな道に対するほんの少しの不安、決意。今までの道に裏付けられた自信。そしてこれから共に歩んでいくということ。この時点で絆を信じている。ただSLは、アイドルのドラスタがいままで人生を歩んできた人間のドラスタの各人の手を引いて新しいステージに立つ自分あての曲、という面があると思っているので、未来への期待というととったほうがしっくりくる。

 2nd。まず夜空。ドラスタはどちらかというと一緒に夢を見る、切磋琢磨という感じのユニットなのだがハイジョの横に巻き込むパワーのほうが強いので少し前を走り『ついてこい』というスタンスになっている。そして未来が暗いなら明るく照らすから変えていけるということを語っている。
 大問題児ムンナイ。ちょっと大人な雰囲気で、ドキドキさせてくれるいかにもアイドルソングな感じだ。この曲は前職を匂わせるワードが出てこない。あぁ彼らはアイドルなのだなと改めて思わされた。ただ私はこの曲、心中と再生みたいなところがないか? とも思っている。タロットの大アルカナに関連するジャンルを通ってきたオタクのフィルターではそもそも月がひときわに輝く日とかちょっとどう考えても悪いことしか起こらない。この『誰にも見せたくない』、奪う、震える指、彼方まで、『生まれかわるのさYOU&I』を合体させるとやはり心中……普通に考えて一夜だけはっちゃけて明日の糧にしよう、もしくは新しい自分になろうよという回だろう。ドラスタは一緒に夢を見るアイドル。あとここまでの輝きはJEWEL。

 OP。理由(ワケ)を謳うコンテンツでBecauseをソロ曲に冠することが許されるなんてことあるのか???? あった。あの星空がサインライトであったり「お空の上」であったりあるいはきらきら星を歌った日々であったりするのかもしれないということは置いておいて、いつからか星に呼ばれていたということを教えてくれる。これはかなり意外だった。Becauseはおおよそ時系列順だと考えられるので、これは笑い方を忘れそうな日々より前の可能性が高い。星はおおむねアイドル、もしくはそれに近い性質の輝き。やはり姉の心を歌で癒すことができたのがアイドルとしての原点なのでは?(オタクのサビ)話がそれた。とにかくここで桜庭は履歴書以上の理由を語る。微笑みあっていることを信じているからその胸にそっと灯を灯せるように歌うと。これ、ちょっと立ち位置が異質だ。いわゆる人を笑顔にしたいではないから。イベスト等で全く違うこと言ってるとかあったらご教授願います。

 そして時空違いの可能性があるため脇に置いておくがアニメ(5分でわかるドラスタことアラスタ)とワートレ(気高くあるための振る舞い)を挟んで5th。『君がくれた言葉(That's your trust in us.)』とこちらが向こうを信じていることを信じているし、向こうもこちらに確信をもっていることを示してくれる。スーツイベの信マ台詞とかもそう。そして灯と笑顔の記録、宝石をもつ心が光になる。やる気があればそのうちエトランゼに狂った旨の日記が上がるはず……
 

 これらの旅路を肯定するということ。変化を認識するということ。桜庭は、今やアイドルをやるためにアイドルをやっている。MYPのカード台詞…? そもそも金のためという自己申告をそのまま受け取っていないのでノーカンだ。第一2ndアニバカードの台詞と合わない。アイドルも金も、手段ではない。医者の仕事がよほど嫌ということでなければ、そのまま医者を続ければいい。人を癒すのも笑顔にするのも別に医者でもいい。姉以外の命に興味がないとしても、金稼ぎの手段というだけで転職するのならば医者も同じ手段なのだから変わりないだろう。笑顔や派手な衣装を着ることに積極的ではなかったくせに、Jupiterのライブを見たというわけでもないくせに、天道や柏木と合流する時点で既に覚悟が決まっている。やると決めたら手は抜かず完璧にこなすのに、医者をやめた。(初期桜庭の異常な焦燥感はアイドルで成功しなければ医者の道に対して不誠実だろうと思ったからという面があると思う)なぜアイドルなのか。
 望む未来に近づくだけ、時を重ねるだけ過去は更新されていく。そして自分も夢も変わっていく。変化は生者の特権だ。桜庭は自分のことはもうめちゃくちゃに信じている。初ステージで『この僕が合格しないとでも?』と言ってのけるほどだ。けれど、他人のことをそこまで信じているかというと、そうではない。モバPにはなぜか恐ろしいほどに寄りかかってくるが、最初は必要ないと言っていた。なにかあればフォローに回るということは、なにか起きる想定があるということだ。

 しかし、Becauseでは人々が微笑みあっていることを信じた。それはステージとは関係ない日々の幸せなこともあれば、他のアイドルの人を笑顔にしたいという思いが働きが通じた結果であることもある。そしてそれを信じている。信じられる。それは人を疑って生きる孤独の終わりだ。桜庭の孤独が何かというと、それは姉の死だろう。

 ステージは、仲間とともに、姉に唯一届いた歌で勝負ができる場所だ。だからここにいるのかもしれない。姉の命を奪った病の治療法を確立させても、それはもはや届かない。復讐でしかない。復讐の旅の終わりはどこか。再生の2nd? 再誕のOP? 再定義の5th? どこでもあって明確にどこでもないけれど、NSEの前なのは確かだろう。サイメモはそれっぽいが、あれの時系列はわからない。

 

 アイドルとはきっと、あの病室の時間の延長線なのだ。だから、桜庭の理由は、変わったけれど、変わっていない。


 

 桜庭の理由は珍しく達成条件が明確でいつ達成できてもおかしくないタイプだ。それを終わりのないソシャゲで追い続けてほしくないから、今の理由は変わったよねという話になった。これは新米とはいえ桜庭担当を名乗ることにしたいちプロデューサーのエゴだ。

 

力尽きたメモ
『歩こう戻れぬ道歌おう仲間と今』とASTERISK
『鏡の前で口角上げてエール送ったっていい』鏡に笑いかけること。自分に向けて笑いかけること。そして、鏡に映るものが自分に笑いかけること。ドラノンの鏡の前の戸惑い→鏡の前でアイドルの象徴たる笑顔をすることの重さ。
『昨日の希望が芽吹くのは誰にだって今日と限らない』昨日の希望:きらきら星と重ねてる?

『当たり前のようにきっと朝が来るだろ』生きている限り明日は来て昨日は遠ざかっていく。あるいは自分がいつか誰かの明日を作るために走り続けるという決意かもしれない。

FDFW2番サビに祈りを込めて。